はじめに
健康的なからだを考える上で運動は欠かせませんが、からだに痛みがあり運動したくてもできない方は多くいらっしゃるかと思います。からだの痛みの中で日本人に多くみられるのが膝の痛みです。あなたは膝に痛みを感じたことがあるでしょうか?
実は膝関節の痛みなどの関節疾患は介護保険の要支援における原因疾患の第1位とされています。
要支援というのは「日常生活を営むのに支障があると見込まれる状態」を言います。この要支援の時点で、介護が必要な状態である要介護へ移行しないように予防していくことが大切です。
言い換えると関節疾患のような要支援の時点で重症化を予防していかなければ、痛みにより動けなくなり筋力、体力は低下し、室内の閉じこりや認知症の進行が生じてしまう未来が待っているということです。
今感じている膝の痛みを放っておいてしまうと、運動が億劫になるどころか将来的に生活習慣病になってしまうリスクが高く、注意が必要です。痛みはからだから出ているSOSです。目の前の痛みとしっかり向き合い動けるからだを維持していきましょう。
膝の痛みは太腿を鍛えれば大丈夫?
突然ですが、この膝のレントゲンを見てどう思われるでしょうか?

膝の内側が潰れてしまっており、なんとも痛そうな膝ですよね。
膝を痛め整形外科へ通われた方は心当たりがあるかと思いますが、ここで一般的な診察の流れを再現してみます。
- 患者
「普通に生活をしていたら急に膝が痛くなり受診しました。」 - 整形外科医
「レントゲンを見て下さい。膝の軟骨が潰れていますね。これでは痛いですよ。膝の周りの筋力が落ちてO脚が進んで痛みが出ているので、膝を伸ばす運動で太ももを鍛えましょう。」
と言われ湿布を処方されて終わり。なんてことがほとんどかと思います。
実は、膝の痛みと膝のO脚変形には相関関係がありません!
O脚が進み膝の軟骨が潰れることで必ずしも痛みが出るという訳ではないのです!また、太腿を鍛えれば膝の痛みがなくなるというのはかなり大雑把な指導であり、それだけでは不十分で完全に膝の痛みを取ることはできません。太ももの筋肉を鍛えることは大切ですが、実はその前にやっておかなければならない事があるのです。
今回は膝の痛みについて詳しく解説し、膝の痛みを取るための本当のエクササイズをご提案させていただきます。
膝の痛みの正体
一般的に膝の痛みは「変形性膝関節症」と診断されることが多いです。
厚生労働省では、国内での変形性膝関節症の患者数を、自覚症状を有する患者数で約1000万人、潜在的な患者数 (X線診断による患者数)で約3000万人と推定しています。日本国民の6人に1人は膝に不安を抱えていることになります。
高齢化が進む日本では患者数は年々増加しているんですね。また、50歳以降の男女比では、女性のほうが男性よりも1.5倍~2倍多いことも分かっています。
また、変形性膝関節症は一次性と二次性の二つに分かれます。明らかな原因がないものが「一次性」、病気やケガなど原因が明らかなものを「二次性」として分けられており、大部分を占めるのは「一次性」です。
「どこかぶつけた訳じゃないけど、なんだか最近膝が痛いなぁ。」という膝の痛みは一次性の変形性膝関節症であり原因が不明ということです。この原因不明というのは、様々な原因が考えられ一概に原因はこれ、というものはないということです。
というのも膝の位置を見てみると分かるのですが、

膝はこのように、足関節と股関節の中間にある、中間管理職のような関節です。
足関節(部下)の失態は膝関節(中間管理職)に影響し、股関節、体幹(上司)からの指示は膝(中間管理職)が対処するといったイメージです。要は、近隣の関節から影響を受けやすい関節なんです。
では、結局何が痛みを感じ取っているのでしょうか。
その答えは神経です!

実は膝関節の間にある軟骨には神経は存在しておらず、膝の軟骨が潰れて痛みが出るというのは間違いなんです。
続きは有料会員のみ
ご購読いただけます。
関連コラム
-
「疲れ」の正体ってなんでしょう?
「あー、疲れた。」 この言葉、無意識のうちに発してしまうことも多いのではないでしょうか。疲れは体からのSOS、つまり体の声です。疲れという体の声を無視してひどくなると「病気」になってしまい、日常生活へ ... 続きを読む
-
買ってはいけないインソールの特徴を教えます!Part1
はじめに 突然ですが、あなたはこれまでの人生の中で靴に入れるインソール(または足底板や中敷き)を購入したことがありますか。 マイボイスコム株式会社が11,607名に行ったインターネット調査では「ここ2 ... 続きを読む