ボケないためにできること。

はじめに

人生100年時代においては、医療の発達とともに病気で死亡する人よりも老化や認知症でなくなっていく人が多くなると言われています。あなたの身内の方にも、認知症と診断された方や、物忘れが激しくなってきた方がいる方は多いのではないでしょうか?もうすでに親の介護で認知症の病状の複雑さや、別人のように変わっていく様子を見て、認知症の恐ろしさを経験している方もいらっしゃるかと思います。

認知症は要介護の原因として最も多い(18.3%)とされており、自分が患った際には他人に介護してもらう必要が最もある、言い換えると、最も他人に迷惑をかける可能性がある疾患ということです。

自分が認知症になり家族に迷惑をかけるのが嫌!ボケずに元気でいたい!という方は今のうちから認知症を理解し、認知症予防を始める必要があるでしょう。今回のコラムでは認知症を解説して、現在の認知症治療薬や最新の認知症の知見、予防するためのアクションプランを詳しく説明していきたいと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。

認知症とは

「認知症」とは老いに伴う病気の一つです。さまざまな原因で脳細胞が死ぬ、または働きが悪くなることによって、記憶・判断力の障害などが起こり、社会生活や対人関係におよそ6か月以上継続支障が出ている状態をいいます。

認知症にはさまざまな種類があり、脳にあるアミロイドβタウと呼ばれる特殊なタンパク質が蓄積されることで起こる「アルツハイマー型認知症」は認知症の中では最も患者数が多いと言われています。その他では、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血をきっかけに発症する「脳血管性認知症」、神経細胞にできる特殊なたんぱく質のレビー小体が脳の大脳皮質や脳幹という場所にたくさん集まったことで発症する「レビー小体型認知症」などがあります。

こうした認知症の症状は大きく「中核症状」と「行動・心理症状(周辺症状)」の2つに分けることができます。

認知症の中核症状とは、脳の病変による認知機能の低下から引き起こされるもので、理解力・判断力の低下、記憶障害、見当識障害、遂行機能障害や失語・失行・失認といった症状を指します。程度の差はあれど認知症であれば必ず起こりうる症状で、進行とともに徐々に重くなっていくものです。

一方、そうした中核症状と周囲の環境や対応、その人の性格などが相互に影響し、二次的に生じる症状が行動・心理症状です。中核症状に対し副次的に生じるものという側面から、周辺症状と呼ばれることもあります。行動・心理症状は、その人の置かれた環境や周囲の人々、生活の歴史との関わりが深いもの。現在の環境や対応が適したものであれば軽減・消失することもあり、全ての認知症の方に生じるものではないとされています。

また、日本では高齢化の進展とともに、認知症患者数は増加しています。「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」によると、2020年の65歳以上の高齢者の認知症有病率は16.7%、約602万人となっており、6人に1人程度が認知症有病者といえます。なお、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)の人も加えると4人に1人は認知症と言っても過言ではありません。

認知症の治療方法

認知症に対する薬はありますが、現在使用されている薬は認知症の進行を完全に止めるものではなく、進行を緩やかにする程度の効果しかないことをご存知でしょうか?

実は、現在の医療では認知症の進行を完全に止める方法や、根本的な治療方法はないのです!

そのため、認知症の治療は認知症の進行を緩やかにし、生活の質を高めることを目的としています。根本的な改善には繋がらないですが、症状の進行を遅らせることでご本人らしく生きることができる時間を長くし、家族や介護者の負担を軽減することにつながると考えられています。

認知症の治療には大きく分けて「薬物療法」と「非薬物療法」があります。それぞれの治療方法について解説していきましょう。

・薬物療法
認知症に対する薬物療法は大きく分けて、中核症状の進行を抑えることをねらいとした認知機能改善薬と、行動・心理症状の軽減をねらいとした抗精神薬や睡眠薬に分けられます。

・非薬物療法
薬物を使わない治療法もまた、認知症の進行を止めたり、根本的に治療したりするものではありません。しかし、生活の質を上げるという面では薬物療法以上の効果も期待されます。

例えば、認知症の症状による不安や妄想に苦しむ方も、昔からの趣味などに集中していれば、その時間は不安が少なく、その方らしく過ごしていられます。脳トレなどの認知機能リハビリテーションや料理や洗濯などの生活上の行為をする生活リハビリテーションなどがこれにあたります。

ここからは認知症の半数を占めるアルツハイマー型認知症に話を移していきたいと思います。

認知症の最新治療薬

こういった治療法が行われている一方で、研究所では症状の進行を遅らせるのではなく根元的な改善を図れるような認知症治療薬の開発も進んでいます。

2021年6月に認知症治療の希望の光になるような発表がありました。

それは、米国のバイオジェンと日本のエーザイ株式会社が共同開発したADUHELM™(一般名:アデュカヌマブ)という薬が、アルツハイマー型認知症の原因である、脳内のアミロイドβを減少させることを発表したのです!この薬が実際に使われるようになれば認知症の進行を食い止めることができるかもしれません。

しかし、完全に喜ぶのはまだ早いようです。今までにない認知症の進行を止める唯一の治療薬となりそうなのは間違い無いのですが、まだ確実なエビデンスの確立には至っていないそうです。また、認知症の原因であるアミロイドβを減少し、症状の進行を抑制することはできるかもしれないですが、一度変性し消滅した神経細胞は再生しないため、進行した認知症では失われた機能を回復することは難しいという問題が残ります。そのため、発症前の段階での治療を目指し、薬の開発が行われています。その意味でも、早期発見・早期治療は今後ますます重要になってくると考えられます。

認知症は予防できる病気

アミロイドβなどの特殊たんぱく質が体内に蓄積することによって認知症は生じるということでした。つまり特殊たんぱく質の蓄積がなぜ起こるのかを解明できれば認知症は予防できるといえます。

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