コロナウイルスより恐ろしいあの病気の予防法〜コロナ禍から学んだこと〜

はじめに

コロナウイルスによって私たちの生活は変化することを余儀なくされました。リモートワークやオンライン会議が当たり前となり、外出が減り自宅で過ごす時間が増えた方も多くいると思います。誰しもが大なり小なりコロナウイルスの蔓延により生活に影響を受けたはずです。そして、誰しもがコロナウイルスに怯える必要がない元の日常に戻ることを待ち侘びていると思います。

しかし「コロナ禍に置かれたからこそ気が付くことができた事」もあったのでは無いでしょうか。

例えば

「リモートワークになってから心身ともに健康になって職場での人間関係や通勤などが心身に大きな負担となっていたことに気がつくことができた」

このようなことはコロナ禍だからこそ気がつくことができた事例の一つでしょう。

そして私もコロナ禍だからこそ気づいたことがありました。
それは「情報を与えられれば、日常的に予防をしていない人もきちんと予防的活動を行う」という事です。

今回のコラムではコロナ禍だからこそ普段予防を意識していない人にも届くであろう「予防の大切さ」についてお伝えしたいと思います。また、最後に具体的なアクションプランを提案するのでぜひ最後までご覧ください。

コロナウイルスに対する予防策

コロナウイルスが蔓延してから約1年半が経過しました。コロナ禍の中でマスク着用・手指消毒・うがい・検温・三密を避ける事は国民の共通認識となりました。つまり、国民はコロナウイルスにかからないように予防的活動をきちんと行うことができているということになります。

これほどまでに国民全体が特定の病気にかからないように予防的活動を行なったことがあったでしょうか?恐らくなかったと思います。

一般的な病気の多くはコロナウイルスのように他者に感染させるリスクはほとんどありません。コロナウイルスは感染者だけではなく身近な人に感染させるリスクが非常に大きいウイルスです。そのため、他人に迷惑をかけてしまう点でその他の病気とは異なり、きちんと予防する必要があることは間違いありません。もし今あなたがコロナウイルスに感染してしまったら職場や家族などの身近な人が濃厚接触者となりコロナウイルスに感染させてしまうリスクが生じます。また、あなた自身は最低2週間は隔離され、仕事をしている人は仕事を休む必要があり、育児をしている人は育児ができなくなります。多くの人に迷惑をかけるとともにあなた自身も感染によって心身共に辛い思いをすることは間違いないでしょう。

しかし、上記のような「他者へ感染させる」点を除けばその他の一般的な病気でも同じことが言えると思います。病気に罹患した当人は仕事を休む必要あり、当然育児をすることもできなくなります。休んだ人の仕事を他の人が補う必要が出てきます。家族や身近な人にとっては心配事が一つ増え、介助や介護が必要になるほどの病気であれば身近な人に様々な負担を強いることになります。一般的な病気にかかることもコロナウイルスに感染することと同じように自分自身と身近な人に大きな影響を及ぼすことは間違いありません。

上記のことを踏まえて、私は「コロナウイルスに対する予防的活動を行うのと同じように、その他の病気に対して予防的活動をするべきだ」と考えています。では、なぜ多くの方はコロナウイルスに対しては予防的活動が行えて、一般的な病気に対しては予防的活動が行えていないのか考えていきましょう。

なぜコロナウイルス感染に対しては予防的活動が行えているのか?

テレビやネットニュースではここ1年半の間ひっきりなしにコロナウイルスについての話題が取り上げられています。そのため、日常会話でもコロナウイルスが話題として出てくることも多かったと思います。コロナウイルスは日本だけではなく世界的に問題になっていることからコロナウイルスは恐ろしいウイルスというような共通認識が生まれたかと思います。

ここで、いきなりですが質問です。コロナウイルスに感染することより圧倒的に恐ろしい病気をご存知でしょうか?ここで言う恐ろしいとはその病気に罹ったらコロナウイルスに感染するより死亡する確率が高いという意味で恐ろしいと表現しています。

それは

「悪性新生物」いわゆる「がん」です。

悪性新生物(以下がん)は過去約40年間死因第一位の病気です。さらに驚くベきことに死亡者数がずっと右肩上がりです。医学の発展とともにがんによる死亡者数は減るかと思いきやずっと右肩上がりで増え続けています。

出典:厚生労働省「令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の概況

そしてコロナウイルスとがんの致死率を比較してみましょう。

コロナウイルスのデータに関しては一年あたりではなく、2021年6月3日時点での国内全体でこれまでの感染者数と死亡数で致死率を算出したものになります。

がんのデータに関しては2020年の一年あたりの罹患者数と死亡者数で致死率を算出したものとなります。

まず、がんとは異なり一年以上の期間でコロナウイルスの感染者数を算出しているにも関わらず、がんの罹患者数の方がコロナウイルスの感染者数より多いということが分かります。

そして、致死率はコロナウイルスは1,8%なのに対してがんは37,5%であり、約20倍という圧倒的に高い数値となっています。

死亡者数や致死率で見るとコロナウイルスに感染するよりがんに罹患する方が恐ろしいことがわかります。また、コロナウイルスはワクチンの普及によって収束が見込まれますが、がんは医学が発展しても尚、右肩上がりで毎年死亡者数が増加しているという点でも恐ろしいと言えます。しかし、いかがでしょうか?がんに罹患する事に対して意識的に予防的活動を行なっている方はいるでしょうか?恐らくほとんどいないと思います。

コロナウイルより恐ろしいがんに対しては予防的活動を行えないのに、なぜ多くの方がコロナウイルス関しては予防的活動を行えているのか。この差は病気に関する情報量と情報に触れる頻度の差にあると私は考えています。

情報の差が生み出す予防意識の差


健康の大切さは健康を失った時、つまり自身が病気になった時や周りの人が病気に罹患するなどの病気の恐ろしさを痛感した時に気がつくことが多いと思います。コロナウイルスに関してはまだ自分自身が感染した経験がなくても、テレビやネットニュースによってコロナウイルスの恐ろしさや予防策について深く知ることができます。特にコロナウイルスによって有名人が亡くなったニュースは国民に対してコロナウイルスの恐ろしさを突きつける衝撃的な出来事だったと言えます。

つまりマスメディアによってコロナウイルスに関する正しい情報を与えられ、一年半という長い期間をかけて情報を与えられ続けた結果、国民全体で共通認識が生まれ予防的活動を行うことができるようになったと考えられます。

逆に、コロナウイルスではない他の病気に関しても、正しい情報を、長い期間与えられれば、その病気に関して予防的活動を行うことができるといえます。これはコロナ禍が教えてくれた教訓だと私は考えています。これを踏まえて定期的に様々な病気や健康に関する情報を入手できる「からだの専門家による未病ケアサロン」は予防的活動を行うためにとても適したサービスだと自負しております。

今までの世の中では「予防」に関して発信しても、全く響きませんでした。何故なら健康の大切さは前述したように健康を失ってからしか気づかないことが多いからです。しかし、国民全体がコロナウイルスへの予防的活動を行うようになった今だからこそ、予防の大切さがやっと世の中に広まるチャンスだと考えています。国民全体が予防的活動を行い日本が健康的な国を築き、膨れ上がる医療費を削減するチャンスだと考えています。

予防について熱く語らせて頂きましたが、最後に今回はコロナウイルスより恐ろしいがんに関する情報を提供して、がんを予防するアクションプランを提案したいと思います。

コロナウイルスより恐ろしいがんに関する科学的に証明されている情報


下の表は日本人のがんの中で、原因が生活習慣や感染であると思われる割合をまとめたものです。

Inoue, M. et al.: Ann Oncol, 2012; 23(5): 1362-9より作成

男性のがんの53.3%、女性のがんの27.8%は、ここにあげた生活習慣や感染が原因でがんとなったと考えられています。つまり生活習慣を見直して感染を予防することである程度がんを予防できるということがわかります。

次にがんの発生要因と主に食物ついてまとめられた下の表をご覧ください。

ここの表に書かれているすべての食物を気をつける事は現実的に難しいと思うので、せめてリスクを確実に上げる加工肉とお酒の摂取を控えるようにし、リスクを確実に下げる食物繊維を多く含むものを積極的に摂取するようにしましょう。

次にがんの発生とウイルス及び細菌の関連をまとめた下の表をご覧ください。

この中ではピロリ菌は検査と投薬で体内から除去することができます。B型肝炎ウイルスは予防接種をすることで感染を予防することができます。残念ながらC型肝炎ウイルスに関しては予防接種は無いので定期的に肝炎の検査を行うことをお勧めします。ヒトパピローマウイルス(HPV)は小学6年生〜高校1年生相当の女子対象にワクチン接種が行われています。エプスタイン・バールウイルスとヒトT細胞白血病ウイルスⅠ型に関しては現時点では予防策はなく対処療法のみとなります。予防できるものはきちんと予防して、定期的なウイルス及び細菌感染の検査を行なっていきましょう。

最後に生活習慣とがんの発生の関連についての情報をお伝えしていきます。

国立がん研究センターをはじめとする研究グループでは、日本人を対象としたこれまでの研究を調べました。その結果、日本人のがんの予防にとって重要な、「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正体重の維持」「感染」の6つが重要であることが分かりました。このうち、「感染」以外は日頃の生活習慣に関わるものです。これから紹介する5つの健康習慣を実践することで、あなた自身の努力でがんになる確率を低くしていくことが可能です。

実際に、「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正体重の維持」の5つの生活習慣に気を付けて生活している人とそうでない人では、将来がんになる確率はどれくらい違うのでしょうか。

国立がん研究センターでは、日本全国の11の保健所の協力を得て、調査開始時点で年齢40歳から69歳の男女、総計140,420 人を対象に、生活習慣とがんや他の病気の罹患についての追跡調査を実施してきました。その結果、この5つの健康習慣を実践する人は、0または1つ実践する人に比べ、男性で43%、女性で37%がんになるリスクが低くなるという推計が示されました。

まとめ

  • 国民全体がコロナウイルスに対して予防的活動を行えているのはコロナウイルスに関する正しい情報がある程度の量、ある程度の長い期間与えられたことによる影響であると考えられます。
  • コロナウイルスだけではなくその他の病気に対しても正しい情報をある程度の量を与えられ、定期的に情報を与えられることで予防的活動をきちんと実施できると考えられます。
  • コロナウイルスよりがんの方が致死率が高く死亡者が毎年増え続けているという点で恐ろしい病気と言えます。
  • がんを予防するためのアクションプランとして①がんを発生させる食物を食べない、②がんの発生を抑制させる食物を食べる、③ウイルス・細菌に対する予防接種と定期検診を行う、④「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正体重の維持」という生活習慣を見直すことを提案させて頂きました。

ぜひ明日からがんに対する予防的活動を始めてみてください。毎日マスクの着用、手洗い、うがいなどコロナウイルス対して予防的活動が行えてるあなたなら必ずその他の病気に対しても予防的活動が行えるはずです。そしてあなたの身の周りの大切な人ががんに罹患しないように今回得た知識を共有してください。あなたの行動の一歩があなたを含めて大切な人の将来の健康に繋がります。そしてその健康の輪がいつか日本のがんによる死亡者数の右肩上がりを食い止めるかもしれません。最後までご覧いただきありがとうございます。

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