そのむくみ、メカニズムをご存知ですか??

仕事から帰ると靴下の跡がくっきり。手の指がパンパンで指輪が抜けない。そんな経験をされたことのある方はたくさんいらっしゃるでしょう。

日経doorsで2019年12月から2020年1月までの女性読者150人を対象とした調査によれば、対象の約1/3の方がむくみを悩みとして抱えているとのことです。

むくみは女性の3人に1人が抱える共通の悩みだと言えますね。

体のさまざまな部分に生じる『むくみ』の症状。むくみは病気によって起こることもありますが、生活習慣が原因になることも多いです。

むくみを改善するためにはまずむくみのメカニズムを知る必要があります。

今回のコラムでは、むくみのメカニズムをお伝えし、むくみ対策についてご紹介していこうと思います。

むくみとは

「むくみってなんですか?」

こう聞かれて、多くの人は体に水分が溜まってる状態をイメージするのではないでしょうか。

そうです。むくみは体と体の中の水分が大きく関わっています。医療用語では「浮腫」と言ったりもします。

なんとなくは理解できている方が多い一方で、メカニズムなどは知られていないことが多いですよね。より詳しくむくみについて説明していきます。

人の身体は、約60%が水分で占められており、体の細胞の中や血液、細胞と細胞の隙間を埋めています。

細胞の中にある水分を細胞内液、血液に含まれる水分や細胞同士の隙間を埋める水分を細胞外液と呼びます。身体を満たす水分のうち、55%が細胞内液、45%が細胞外液にあるとされています。

この45%の細胞外液は血液や細胞同士の隙間を満たす水分、リンパ管や骨に存在していると言われます。

私たちが日常の中で経験するむくみというのは一時的なものが多く、夜パンパンだった脚が寝たらスッキリしたという経験は多くの方がされたことがあると思います。これは私たちの身体の中では血管を通して、細胞の中と外を水分が出入りし、栄養を届けたり老廃物を除去したりしながら、細胞内と細胞外の水分バランスや組成を調節し、一定に保てているからです。

しかし、なんらかの影響でそのバランスや仕組みが崩れ、細胞の外に余分な水分が溜まるとむくみが発生してしまうのです。

つまり、むくみは細胞外液が過剰になった状態なのです。

むくみのメカニズム

細胞内と細胞外のバランスは、毛細血管による細胞内外の水分量の調整、体液量の調整、腎臓での電解質の調整などさまざまな因子によってコントロールされています。

私たちの身体では常に血管・細胞同士の隙間(以下、細胞間質)・リンパの間で水分が移動しています。むくみが生じるのは血管内から細胞外への水の移動が増えた時、血管やリンパ管から吸収される水分が減った時です。

この水の移動に関与するのが、血管内圧血漿膠質浸透圧です。聞き慣れない言葉ですが、意味は簡単です。血管内圧は血管内の水分を細胞間質へ移動させる力、血漿膠質浸透圧は細胞間質の水分を血管内に移動させる力のことです。

つまり血管内の水分が細胞間質に過剰に追い出された血管内圧が上がった時、また、細胞間質の水分が血管内に吸収する量が減り血漿膠質浸透圧が低下した時に細胞間質に水分が溜まり、むくみが生じるのです。

むくみの原因

むくみのメカニズムから、むくみの原因は血管内圧の上昇と血漿膠質浸透圧の低下があることをお伝えしました。

では、これらはそれぞれなぜ起こるのでしょうか。原因は色々とあります。

まず、血管内圧の上昇をイメージしましょう。1番イメージしやすいのはホースです。小さな穴の空いたホースを蛇口につないで水を出す少しずつ水が漏れてきますね。もし先が塞がれた時、ホースがパンパンになって小さな穴から水が勢いよく外に出てきます。まさにこれが血管内圧が上がっている状態です。

それでは身体におきかえてイメージします。

一日中デスクワークをした後に足がむくんでしまう方。一日中座っていると脚の筋肉を使わないため、血液を心臓に送ろうとする筋肉のポンプ作用やリンパ管での吸収能力が低下し、脚の静脈の流れが鬱滞してしまいます。そうすると、脚の血管がホースの先を塞いだような状態となり血管内圧が上がり、外に水分が出るため足がむくんだ状態となるのです。つまりこのようなパターンでは、脚の筋肉が働かずに循環が促されず、リンパ管での吸収能力が低下したことが原因となります。同じことが心臓でもいえます。心臓の機能が低下したら、心臓に血液が戻れなくなるため全身の循環が滞り、血管から水分が外に出てむくみにつながります。心不全の方にむくみが生じるのはこのメカニズムです。

それでは、次に血漿膠質浸透圧の低下についてイメージしましょう。血漿膠質とは血管内のアルブミンというタンパク質です。先程、血管内圧の説明の時に述べましたが、血管には無数の小さな穴が空いています。この小さな穴を血漿膠質である血管内のタンパク質(アルブミン)は通り抜けることができません。つまり、血管の中の水分が少なくなると相対的にアルブミン量が増えて濃度が濃くなってしまいます。そこで私たちの身体に備わった水分バランスの調整が働き、血管の外にある水分を中に取り込んでバランスを保っているのです。しかし、血管内のアルブミンが少ないと血管の外から中へ水分を取り込まないため、血管の外の水分量が多くなってしまい、むくんだ状態になってしまうのです。

アルブミンが少なくなってしまう原因にも様々ありますが、栄養失調や肝臓の病気でアルブミンが作れない場合、腎臓の病気でアルブミンが尿に排泄されてしまう場合が考えられます。

むくみといっても、そのメカニズムや原因は様々ですね。

冒頭で述べた通り、健康な女性が悩むむくみのほとんどは一過性のことが多いですが、長く悩まれている方や常にむくんでいるなどの症状がある方は病院等に受診してみても良いかもしれませんね。

むくみ対策

こちらでは一過性のむくみに対して日常生活で改善できる部分について説明していきます。

まず一つは、ふくらはぎの筋力アップです。

ふくらはぎの筋肉である腓腹筋は、「第二の心臓」と言われるほど、循環に大きな作用をしています。下半身の血液を上半身に送り返す重要な役割を担っているのです。

横断歩道での待ち時間、料理中や歯磨きの時など、隙間時間を使って踵上げの運動をしてみましょう。ポイントは背筋をまっすぐと伸ばし、足の指をしっかりと地面につけて行うことです。身体を反ったり、指先が遊ばないように気をつけてください。

次に、塩分を取りすぎないことです。

私たちの身体には水分のバランスを保つための機能が備わっていることを前述しました。そのため、塩分を取りすぎた際にはそれを薄め、体内の濃度を一定にしようと水分を身体に溜め込もうとするのです。

日本人は塩分摂取量が多く、厚生労働省の定める「日本人の食事摂取基準」の目標量と比較してもまだまだ及ばず、さらにWHO(世界保健機構)が設定している目標値へは更にほど遠い状態と言われています。

いきなり食生活を変えることは難しいでしょうから、麺類の汁は半分以上残す、醤油やタレはかけるのではなくつける、などささやかなことも繰り返せば効果はあります。少しずつ実践してみてください。

以前、オンラインサロン内のお悩み相談動画にて血圧を下げるポイントについてご説明させていただいておりますので、そちらもご覧ください。

まとめ

今回のコラムではむくみについてより詳しくお伝えしました。

  • むくみは女性の3人に1人が抱える悩みである。
  • 人の身体は約60%が水分で占められ、細胞内液と細胞外液に分かれている。
  • むくみは何らかの影響で身体の水分バランスが崩れ、細胞外液が過剰になった状態。
  • むくみは血管内圧が上がった時や血漿膠質浸透圧が低下した時に生じる。
  • むくみ対策にはふくらはぎの筋力アップと塩分をとりすぎないことが大切である。

むくみを日常的に実感し、今回あげたような対策を実際にしている方は多いと思いますが、むくみのメカニズムまで詳しく理解していた方は少ないのではないでしょうか。

むくみ解消のためにダイエットをする、身体に水分が溜まっているから水分を控える。これらの行動は今回のメカニズムを知れば、適切ではない行動だということはお分かりいただけますね。

メカニズムを理解し正しい行動を取っていきましょう!

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